スイスの山といえばマッターホルンが有名です。
そのマッターホルン山麓の山岳リゾート・ツェルマットで、マッターホルン直下まで歩けるハイキングコースがあるのをご存知ですか?
マッターホルン登山のベースキャンプにもなっているヘルンリ小屋を目指して往復するハイキングです。近づけるどころか、マッターホルン登山の取り付き口となる岩壁とロープにぶら下がることもできます(笑)
憧れのマッターホルンの岩壁にタッチ!間近で迫力あるマッターホルンや、4000m級のアルプスの絶景を眺めに行きませんか?
この記事では、ヘルンリ小屋往復ハイキングコースの詳細をまとめました。
ヘルンリ小屋ハイキングコースの詳細
スタート地点:シュヴァルツゼー/Schwalzsee(標高:2,583m)
経由地:ヘルンリ小屋(標高3,260m)
ゴール:マッターホルン取り付き場(標高:3,278m)
往復のコースタイム目安:約5時間
往復の距離:約13km
標高差往復:約1360m
ヘルンリ小屋往復ハイキングコースのガイド
まず、ツェルマットの街の一番奥にあるグレッシャーパラダイス・ゴンドラ乗り場へ向かいます。街のメインストリートと平行するように流れている、フィスパ川沿いにマッターホルンに向かって歩いていくと到着です。
街の中心地からは、約10分ほどかかります。
ハイキングのスタート地点でまでは、グレッシャーパラダイスゴンドラ乗り場から、フーリー駅を経由して、シュヴァルツゼー駅で降ります。
シュヴァルツゼー駅までは標高2,583mまで上がりますので、ゴンドラ乗車時間は30分ほどかかります。シュヴァルツゼーまで乗り降りなしが基本ですが、シーズンによっては、フーリーで乗り換えが必要になることがあるので注意してください。
シュヴァルツゼーに到着したら、マッターホルンが目の前に!!!
上のマッターホルンの写真を見ると、山頂に向かって伸びる尾根が見えますが、「ヘルンリ稜線」と呼ばれています。この稜線沿いを山頂まで登っていくルートが、一番難易度の低いスタンダードなマッターホルン登頂ルートです。
この登山ルートでベースキャンプとなるのがヘルンリ小屋です。稜線の付け根あたりに見える白い建物がヘルンリ小屋で、今回はこの小屋に目がけて登っていくハイキングコースを歩きます。
それにしても、かっこいい山ですよね…。
マッターホルンの初登頂は、1865年にイギリス人登山家のエドワード・ウィンパー一行によってなされました。しかし、下山時に悲劇があり、7名中4名が滑落して亡くなっています。
それまでは、イタリア側からのアタックが一般的でしたが、ウィンパーの初登頂からヘルンリ尾根のルートが一般的になりました。
イッテQのイモトも同様のヘルンリ稜ルートで登り、ヘリコプターで下山しています。天候がイマイチの中で決行する必要があり、ツェルマットの自治体からヘリコプターを利用するように指示があったそうです。通常はヘリコプター利用は許されていないので、やはりテレビの力はすごいですね…。
さて、シュヴァルツゼー駅のゴンドラを降りたところに公共のトイレがあります。また、駅から数十メートルのところに、シュヴァルツゼー山岳ホテルがあり、レストランや、山の上のホテルを経営しています。
ここからは、ひたすらマッターホルンに向かって歩いていきます。
ハイキングのスタート地点ですでに標高が2500mを超えているので、体を慣らすためにも普段よりゆっくりと歩いてください。
ヘルンリ稜線の左側が東壁、右側が北壁です。マッターホルンの北壁は、登頂が困難と言われる「アルプス三大北壁」の一つで、グリンデルワルトのアイガー北壁、イタリアのグランドジョラス北壁と並びます。
ちなみに、マッターホルン北壁の日本人初登頂は、渡部恒明と芳野満彦です。芳野満彦はその後、旅行会社アルパインツアーを創設、日本で初めてヨーロッパ・アルプス・ハイキングツアーを作りました!
余談はさておき、ハイキングコースは、やや道幅が狭く高度感のある道が続きます。普段から日本で登山されている方であれば、あまり怖く感じる道ではありません。
歩くごとに近づいてくるマッターホルン。贅沢な時間です。
できれば、せっかくのマッターホルンビューなので、天気の良い日にハイキングを決行したいですね。
ハイキングコース自体は整備されていますが、ヘルンリ小屋に近くに連れてゴロゴロの岩稜へと変わります。途中、簡単な岩場や鎖場がありますので、足元に注意しながら集中して登ります。
ついにヘルンリ小屋に到着!マッターホルン登頂150周年を記念する年にリニューアルされて、近代的な建物になりました。
写真がなかったので、公式のInstagramよりお借りします。マッターホルン直下の素晴らしいロケーションです。
ヘルンリ小屋の中には、ガラス張りの食堂があります。
マッターホルンや4000m級のスイス・アルプスの絶景を眺めながら、おいしいランチが食べられますよ。
ランチ時間は混雑しますので、席が取れないこともあるようです。山小屋を利用できないことも想定して、簡単な軽食は用意しておきたいですね。
ヘルンリ小屋は、マッターホルン登山で宿泊する山小屋ですが、一般のハイカーも宿泊は可能です。ただ、ちょっと料金がお高い…(笑)まぁ、こんなところに宿泊できればプライスレスですかね。
ヘルンリ小屋にはオリジナルのバッジやTシャツが販売されているので、記念に購入されていく方が多いです。
さて、ヘルンリ小屋で休憩したら、いよいよマッターホルン登山の最初の岩壁へ!
ヘルンリ小屋からは、岩尾根を歩いて、10分程度で到着します。
早速、マッターホルン登山体験(笑)難しい〜。
ちなみに最初の取り付き口でモタモタしているようでは、マッターホルンには登れません。スピードが命なので、ガイドのスピードに付いていけないと、下山するように容赦無く指示されます。
そんなこんなで、下山は往路と同じ道を辿ります。滑らないようにお気をつけて!
シュヴァルツゼーまで戻ってきたらハイキング終了!ゴンドラの最終時間に余裕があれば、ゴンドラ駅前の湖でゆっくりピクニックもおすすめです♪
お疲れ様でした〜!!!
ヘルンリ小屋往復ハイキングの注意点
では、最後にヘルンリ小屋往復ハイキングの注意点をシェアします。
ハイキング・シーズンに注意!
ヘルンリ小屋のハイキングコースは、標高3,000m付近を歩きますので、残雪に注意する必要があります。
その年によって残雪時期は変わるのですが、だいたい7月中旬頃からハイキングコースの雪が無くなります。残雪時期の歩行は難易度がアップして危険なので、ハイキングコースのコンディションには十分に注意するようにしてください。
通常だと、7月中旬頃〜9月中旬頃までがヘルンリ小屋ハイキングのベストシーズンです。
当日のハイキングコースのコンディションについては、ツェルマット駅前のインフォメーションセンターで教えてもらえます(英語が通じます)
ゴンドラの最終時間に注意!
ハイキングの起点となるシュヴァルツゼーまでは、往復ゴンドラを使います。そのため、最終のゴンドラ時間に遅れると、ツェルマットの街まで標高1,000m近く歩いて下山することになります。
また、ゴンドラの最終時間も時期によって変わりますので、確認を怠らないように注意してください。
ヘルンリ小屋ハイキングの日は、できるだけ早めに出発して、ハイキング中に焦る必要がないように余裕を持った行動を心がけたいですね。
ヘルンリ小屋に宿泊する場合
ヘルンリ小屋に宿泊する場合は、毎年6月1日に公式ホームページより一斉予約開始となりますのでチェックしてみてください。
マッターホルン直下にある小屋なので景色は素晴らしいですし、マッターホルン登山をしている人たちが、登っている様子をみることができますよ。
基本的にはドミトリー(相部屋)ですが、個室もあります。宿泊料金は、ドミトリーで一人一泊150フラン、ダブルルームで一泊450フランです。
まとめ:憧れのマッターホルンに近づこう!
ツェルマットにはさまざまなハイキングコースがありますが、マッターホルン直下まで近づけるハイキングコースは他にありません。コースも整備されているので、通常の登山装備で問題ありません。
マッターホルンに憧れている人は、まずはハイキングからチャレンジしてみてはいかがですか?
難易度は高く見えるかもしれませんが、日本で登山を趣味にしている人であれば、特に不安に思うような箇所はないと思います。旅行会社でも、近年ではヘルンリ小屋ハイキングを取り入れているツアーが多くありますので、探してみてくださいね。
個人でいく場合には、注意点として紹介した残雪状況とゴンドラ最終時間は事前にチェックしてください。
▼日本人ガイドに案内してもらいたい場合は、以下から申し込み可能です。
▼健脚な人はブライトホルン登山もおすすめ。