皆さん、スイスのブライトホルンはご存知ですか?
24時間テレビで土屋太鳳さんが、ブライトホルン登山に挑戦したことが記憶に新しいかもしれません。結局、天候を理由に断念することになり、残念でしたね。
ブライトホルンはスイス・アルプスのツェルマットにある4,164mの山です。
正確には、スイスとイタリアの国境にあるペンニネアルプス山脈に属します。周りには、マッターホルンやモンテローザなど、4000m級のアルプスの名峰たちがずらりと並びます。
そんなブライトホルンは、世界の4,000m峰の中でも最も難易度が低く、スイスでは雪山登山の登竜門として知られています。特別な技術なしに登れる(登山の経験は必要です)、希少な4,000m峰なのです。
山頂からの景色は、言うまでなく素晴らしいものです。晴れていれば、マッターホルンを始めとするスイス・アルプスの名峰に囲まれ、遠方には、フランス・イタリアとの国境に聳えるヨーロッパ・アルプス最高峰のモンブランまで見渡せます!
スイス・アルプスで憧れの4,000m峰に登ってみませんか?
この記事では、海外の山旅専門の旅行会社で勤務していた経験から、スイス・アルプスのブライトホルン登山のルート・難易度、手配方法や費用、必要な持ち物、気をつけることなどを紹介していきます。
ブライトホルンの登山ルート
まずは、どんな登山コースなのか、簡単に紹介していきます。
ブライトホルンの登山ルートはいくつかありますが、初級レベルで登山できるルートは一つです。まずは、ツェルマットの街からゴンドラを乗り継いで、ヨーロッパ最高地点の展望台があるクラインマッターホルンにアクセスします。
クラインマッターホルンは日本語に訳すと「小さいマッターホルン」の意味で、尖ったピークが印象ていの山の形をしています。ここまでゴンドラでアクセスすると標高はなんと3820m、富士山より高いところまで人工的な力で登れてしまうので驚きです…!
ブライトホルン登山は、ゴンドラを降りた3820m地点から出発するので、標高差約340mだけ登ることになります。登山の時間は往復で3時間〜4時間です。
氷河に覆われた万年雪がある山なので、特に決まった登山ルートが整備されている訳ではありません。なので、必ず経験豊富な地元の登山ガイドを手配して登ることが大切です。
氷河上を歩くので、所々にクレバスがあります。
それを知らずに歩いてしまうと、年に数件発生する滑落事故につながります。クレバスには、平均して30m-40mほど落ちてしまいますので、助かる確率も低くなりますよ。
地元のガイドはクレバスを避ける安全な道を知っていますし、万が一の悪天候時の判断も任せることができます。必ず手配して安全に登りましょう。
ブライトホルン登山のガイド手配方法
ブライトホルン登山のガイドは、ツェルマットの街のメインストリート沿いにある「Snow&Alpine Center」で予約手続きをします。
予約のタイミングは、ツェルマットに到着してからでも良いですが、滞在日数が少なくて事前に予定が決まっている時は事前予約がおすすめです。
事前予約した場合には、ツェルマットに到着してから一度ガイドオフィスに顔を出して、コンディションや催行状況を確認することをおすすめします。予備日も必ず設定しておきましょう。
日程に余裕がある場合は、到着してから天気予報を確認して晴れる日に予約すると良いですね。
予約のキャンセルは48時間前まで可能で、その場合は手数料20フランが差し引かれて返金となります(2020年12月現在)
予約は以下のサイトからできます。
Snow&Alpine Center基本情報
住所:Bahnhofstrasse 58 3920 Zermatt
電話:+ 41 27 966 24 66
サイト(ブライトホルンのページ):
https://www.zermatters.ch/en/breithorn-4164-m-asl
ガイドツアーの詳細
ガイド協会のホームページに英語で記載がありますが、その内容を抜粋して、日本語でまとめました。
ガイドツアーは混載が基本で、最小催行人数が3名からです。なので、登る日に3名以上の集客がなければ、ツアーは不催行になります。
もしくは、プライベートガイドを雇う方法があります(料金はその分高くなります)。詳しくは、以下をチェックしてください!
- ガイド1名あたりの人数:3名〜6名まで(コンディションによっては4名まで)
- 登山時期:一年中可能(冬はスノーシューやスキーのオプションもあり)
- プログラム:夏は7:30分、冬は8:15分にクラインマッターホルン・ゴンドラ乗り場に集合
- 料金:ガイドツアーは1人190フラン
- プライベートガイドは1人570フランで3名まで(人数増えると追加料金40フラン)
- その他費用:クラインマッターホルン展望台までの往復ゴンドラ料金:114フラン
- 道具のレンタル(ハーネス・アイゼン・ストック):9フラン
必要な装備
道具は、ハーネス・アイゼン・ストックは特別料金で手配可能なので、日本からはるばる持参する必要はありません。
しかし、アイゼンだけは、自分のものを持参することをおすすめします。日本人の幅広な靴のサイズにフィットしない可能性があるからです。
その他の、基本的な登山用具は自分のものを利用します。詳細は以下をご確認ください。
必要な装備リスト
・登山靴(ソールが硬くてアイゼン装着可能なもの)
・ハーネス(レンタル可能)
・アイゼン(レンタル可能)
・ザック(30l程度)
・登山ウェア一式(レインウェアも必ず)
・グローブ
・帽子
・サングラス
・日焼け止め
・行動食
・保温ボトル(テルモスなど)または水筒
・トレッキングポール(雪山で利用可能なもの)(レンタル可能)
ブライトホルン登山の注意点
それでは、最後にブライトホルン登山の注意点をまとめます。
高山病に注意する(到着日翌日の登山は避ける)
ブライトホルンはいくら初級向けの山と言っても、標高が高いので高山病になる可能性があります。特に、到着日の翌日にすぐ登山することは避けましょう。ガイドオフィスでの打ち合わせもできません。
ツェルマットの街は標高が1620mありますので、数日滞在して近くの展望台やハイキングなどで体を慣らせてから、ブライトホルン登山に挑みましょう。
高山病対策で有効なのは、チョコレートや飴玉をなめて糖分をとり、水をこまめに飲むことです。また、スイスのガイドからは、コーラが有効と教えてもらったことがありますよ!
また、高山病に効果のあるグリコラミン(Gly-Coramin®)と呼ばれる薬がスイスの薬局に売っていますので、もし心配であれば購入しておくと良いかもしれません。
日本で雪山の経験を積んでおく
ツェルマットガイド協会のレベル基準だと、ブライトホルンは特別な技術の必要ない登山に該当しますが、アイゼンを装着して雪上を歩きますので、日本で事前に雪山の経験を積んでおくことをおすすめします。
当日にアイゼンを初めて装着するレベルだと、他の参加者に迷惑をかけてしまいます。外国人の歩行ペースは、私たちよりずっと早いので、ついていけなくなる可能性もあります。
快適に登山を楽しむためにも、日本で事前にアイゼンを装着して雪山を歩く練習をしておきましょう。
英語の練習をしておく
ガイドツアーは英語なので、基本的なやりとりができるように、英語の練習をしておきましょう。ペラペラ話せる必要はありませんが、片言でも意思疎通ができるくらいになっておくと良いですね。
予約・手配も直接する場合には、基本的に全て英語になります。
もし日本語の手配アシストや通訳が必要な場合には、専門性の高い旅行代理店を通して手配してもらう方法が一番良いと思います。何かあった時にも対応してくれるので安心ですね。
ご希望があればおすすめ旅行会社を紹介しますので、お問い合わせください。
まとめ
スイスのブライトホルン登山の方法についてまとめました。
ブライトホルンは、特別なクライミング技術がなくてもの登れる、世界で唯一の4,000m峰です。登頂に成功すれば、一生に一度の素晴らしい経験となることでしょう。
一番重要なことは、必ずガイドを付けて登山すること。これを守らないと、安全なルートから外れてしまったり、急な天候悪化で滑落したりなど、危険な目にあう可能性があります。
これからスイス旅行する人に向けて、スイスの個人旅行のノウハウなども、随時ブログに載せていきたいと思っているので、ぜひ旅行の参考にしてください。
もし英語や個人手配に不安がある場合には、専門性の高い信頼できる旅行会社に頼んでみてくださいね。では、素敵な旅になるようお祈りしています!
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