スイスで日本人観光客に一番人気のシーズンは、間違えなく夏(6月下旬〜7月中旬頃まで)ですが、実は一番スイスらしい景色「白いアルプスの山々と牧草地に広がるお花畑」が見られるのは春の季節です。
長い冬が明けて、標高の低い山麓から雪解けが進むと同時に、春のお花が一斉に芽吹きはじめます。街の牧草地を埋め尽くすようなタンポポ畑や、雪解けとともに顔を出すクロッカスの群生を見られるのはこの時期しかありません。
何より、夏シーズンに比べると観光客が圧倒的に少なくなるので、静かに個人旅行を楽しめることがポイントです。
私自身も、初めて春のスイスを訪れた時には「こんなにも美しいのか!」と衝撃を受けました。夏の添乗・ガイドは何度もしたことがありましたが、春のスイスはなかなか訪問機会がなかったからです。
この記事では、スイス春の旅行の気候・服装など基本的な情報から、この時期におすすめ観光地を紹介します。
春スイスの気温・気候
春のスイスは、平均気温で平均気温で8 〜15 °C程度と、涼しくて過ごしやすい季節です。
3月はまだ雪が降り山岳リゾートはスキーシーズンの真最中ですが、4月・5月と徐々に雪が溶けて春の花が芽吹きはじめます。スキーシーズンを終えた山岳リゾートでは、基本的に4月中旬〜5月中旬頃まではお休みに入ります。
営業再開は5月中旬以降になりますので、山岳リゾートに滞在するプランを考えている人は注意してください。都市観光は基本的に一年中OKですが、気候が安定してくる4月以降がおすすめです。
各地の気温・気候目安
春スイスの各地の平均気温・降水量を表にしました。自分が訪問する場所が載っていない場合は、標高を目安に参考にしてください。
チューリッヒ(標高408m)
チューリッヒ | 4月 | 5月 | 6月 |
---|---|---|---|
最高気温(℃) | 15℃ | 19℃ | 23℃ |
最低気温(℃) | 6℃ | 10℃ | 13℃ |
降水量(mm) | 85.9mm | 115mm | 132.1mm |
ツェルマット(標高1,620m)
ツェルマット | 4月 | 5月 | 6月 |
---|---|---|---|
最高気温(℃) | 11℃ | 14℃ | 19℃ |
最低気温(℃) | 0℃ | 4℃ | 8℃ |
降水量(mm) | 61mm | 94mm | 77mm |
グリンデルワルト(標高1,034m)
グリンデルワルト | 4月 | 5月 | 6月 |
---|---|---|---|
最高気温(℃) | 8℃ | 12℃ | 15℃ |
最低気温(℃) | 3℃ | 7℃ | 10℃ |
降水量(mm) | 74mm | 85mm | 93mm |
春スイスの服装の選び方
春のスイスの気温は、日本の東京と比べると-10℃程寒いので、暖かい服装を準備する必要があります。
山岳リゾートでは、日中は天気が良いとポカポカ暖かく感じますが、朝晩はかなり冷え込みます。また、展望台に上がると気温が一気に下がるため、長袖のシャツの上に、フリース・ダウンのような防寒着が必要です。
ハイキング時の服装については、また別記事にまとめて紹介します。
参考までに、私が4月にアッペンツェルの展望台(標高2501m)にいる時の服装
おすすめ観光地
春のスイスならではの体験や景色が見られる観光地をピックアップしました。ぜひ計画の参考にしてください。
グリンデルワルト(標高1,034m)
春のスイスで一番のおすすめ訪問地は、アイガー山麓の山岳リゾートであるグリンデルワルト周辺です。
牧草地が広がるなだらかな地形なので、早くに雪解けしやすく、山の斜面に顔を出すクロッカスの群生や、牧草地をタンポポが埋め尽くす素晴らしい景色を見ることができます。
グリンデルワルト周辺では、ヨーロッパで一番高い鉄道駅「ユングフラウヨッホ展望台」や、さまざまなアトラクションを楽しませてくれる「フィルスト展望台」観光は外せません。
その後、雪解けの状況に合わせて、鉄道・ロープウェイの中間駅で下車、グリンデルワルトの街まで牧草地の合間を縫いながらフラワーハイキングがおすすめです。
- ユングフラウヨッホ展望台観光(3,454m)
+ハイキング「クライネシャイデック〜ウェンゲンアルプ」(歩行:約2時間)
+ハイキング「アルピグレン(ブランデック)〜グリンデルワルト」(歩行:約2.5時間) - フィルスト展望台観光(2,168m)
+ハイキング「ボルト〜グリンデルワルト」(歩行:約2時間)
ミューレン周辺
ユングフラウ三山の絶景を望む山岳リゾート「ミューレン」周辺のハイキングコースは、春の時期にはクロッカスの群生が有名なエリアです。
残雪の状況により、歩くコースは考える必要がありますが、グリュッチュアルプからミューレンの線路沿いを歩くコースが分かりやすくて雪の影響が少なくておすすめです。
ハイキング後は、ミューレンの上にあるシルトホルン展望台にロープウェイで登ってみましょう。映画007の舞台となったことでも有名で、展望台の中にもいろいろ仕掛けがあり楽しめます。
また、シルトホルン展望台から、ロープウェイ一番下のシュテッヘルベルクまで降りて、ラウターブルンネン駅まで散策するとものすごい密度のお花畑の中を歩けます。
その途中に、有名観光地である「トゥルンメルバッハの滝」や、ゲーテも詩を詠んだという「シュタウプバッハの滝」にもお立ち寄りいただけます。疲れたら、途中からバスに乗って戻ることも可能です。
- グリュッチュアルプ⇔ミューレン線路沿いハイキング(歩行:約2時間)
+シルトホルン展望台観光 - シュテッヘルベルクからラウターブルンネン谷ハイキング(歩行:約2時間)
途中、トゥルンネルバッハの滝・シュタウプバッハの滝に立ち寄り可能
レマン湖(モントルー)周辺(390m)
レマン湖周辺の丘陵地帯には、春の時期にしか見られない希少なナルシスの群生の中を歩くハイキングコースがあります。
5月上旬からポツリポツリと咲き始め、5月中旬〜下旬頃に満開になります。山の斜面を真っ白に埋め尽くすナルシスの花は、徐々に山の上の方へと移動していきますので、ナルシス開花予報をチェックして歩く場所を決めるのが良いでしょう。
レマン湖周辺は、他にもモントルー・ヴェヴェイ・モルジュ・トロシェナなど有名な街がそろっているので、小さな街巡りも楽しいエリアです。モルジュは「花の町」としても知られ、毎年4月〜5月下旬にかけてチューリップ祭りが開催されます。
モントルー近くのレマン湖畔には、観光スポット「シオン城」がありますし、レマン湖畔対岸のフランス領エヴィアン(お水の有名!)にクルーズすることも可能です。
- ヴェヴェイの街起点:
電車でブロネ経由レプレイヤード山頂駅へアクセス
ハイキング:レプレイヤードからフェイ(歩行:約1時間30分) - モントルーの街起点:
電車でレザヴァン、ケーブルカーでソンルーへアクセス
ハイキング:ソンルーからレザヴァン(歩行:1時間30分)
まとめ:春の静かなスイスをゆっくり満喫!
スイスの春の気候・服装・おすすめ観光地をまとめました。夏に比べると航空券・ホテル代も安いですし、観光客も少ないので、ゆっくり楽しめる良い季節だと思っています。
スイス旅行はどうしても夏に一極集中してしまいがちですが、スイスらしい雪をまとったアルプスと一面のお花畑を見たい人はぜひ春のシーズンを選んでみてください。
まだまだ肌寒い季節ですので、防寒対策はしっかりとしていってください!
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