世界遺産の街「サンクト・ガレン」観光ガイド|修道院図書館・見どころと行き方

世界遺産の修道院図書館があることで有名なサンクト・ガレンは、チューリッヒ空港から電車で約1時間、ドイツとの国境近くにあるスイス東部の街です。
中世の時代にはヨーロッパの学問の聖地として栄えた歴史があり、旧市街をただ散策するだけでも楽しい!建物や街並みからも歴史を感じられる街です。
チューリッヒから日帰りで訪問も可能ですが、スイス東部もかなり魅力のある観光スポットが多くるので拠点として数泊するのもおすすめです。
この記事では、サンクト・ガレンの最大の見どころであるサンクト・ガレン修道院をはじめ、見どころスポットを紹介します。サンクト・ガレンまでの行き方や、ちょっと足を伸ばした周辺のおすすめ観光情報も紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。
【世界遺産】サンクトガレンの修道院地区

サンクトガレンは東スイスの中心都市。その中心に広がる「ザンクト・ガレン修道院地区」は、街そのものの歴史を形づくってきた精神的・文化的な中枢です。
その起源は7世紀まで遡り、アイルランド出身の修道士・聖ガルスが伝道の旅ではるばるスイスまで訪れた際にこの地に僧院を建てたことに由来します。聖ガルスの名前からサンクト・ガレンと名付けられ、この僧院が今日のサンクト・ガレン修道院の原点となります。
その後、8世紀〜9世紀にはガルスの弟子が正式に修道院を創設し、ベネディクト会に属することになります。特にカロリング朝時代には、宗教・学問の中心地としてヨーロッパから一目置かれる存在へと発展します。
9〜11世紀には、写本制作の中心地として最古の図書館が併設され、ヨーロッパの文化史において貴重な資料を残しました。12〜15世紀には、修道院中心の都市・経済圏が形成され「繊維産業」と共にさらに発展していきます。
18世紀には、現在のバロック様式の美しい修道院教会(大聖堂)や、ロココ様式の傑作と称される修道院図書館が建てられました。サンクト・ガレン修道院を中心として発展してきた歴史的価値や文化的背景が高く評価され、1983年にユネスコ世界遺産に登録されてました。
サンクト・ガレン観光の主な見どころ

サンクト・ガレン観光の主な見どころを紹介します。駅から歩いて徒歩10分弱で旧市街に入り、観光スポットが中心地に凝縮されています。
サンクトガレン修道院(大聖堂)|Fürstabtei St. Gallen

サンクトガレン大聖堂は、スイスを代表とするバロック様式の教会です。何度も改修や増築が繰り返され現在の形になったのは1755年〜67年にかけて。図書館建設と同時期です。

内部の建物は明るい白と淡いグリーンが基調、逆に天井の絵はダークカラーで描かれていることがコントラストとなり印象的な造りとなっています。装飾・彫刻も非常に細やかなので、じっくりと見学する価値がありますね。
隣接している建物はかつての修道院。ともに1983年に世界遺産に登録されています。
営業:7:00時〜19:00時(月〜水曜日:6:00時〜、冬期〜18:30まで)
入場料:無料
地図
ザンクトガレン駅から徒歩10分弱、旧市街の中心にあります。
修道院図書館|Stiftsbibiliothek

サンクトガレン修道院に併設されている世界遺産の修道院図書館は、世界で一番美しい図書館や、ロココ様式の建築の傑作と称されている美しい内装が特徴です。
修道院創設からまもない8世紀から書物の収集がはじまった世界最古の図書館であり、所蔵数は約17万点。そのうち、多くが写本とよばれる手書きの文書で、古代ギリシャ・ローマの文献や聖書・神学書、医学・天文学・歴史書など、ヨーロッパの失われかけていた知識を守り伝えた場所だと言われています。
中でも、「ザンクト・ガレン修道院平面図」は世界最古の建築設計図として有名。かつてベネディクト派修道院でビールの醸造所がつくられていたことや、薬草・ハーブが栽培・研究されていた薬草園があったことがわかっています。
18世紀の建物が使われているため中に入る際にはスリッパを履きます。また、カバン等は全てロッカーに預ける必要があるのでご注意ください。
営業:10:00時〜17:00時(※10月中旬11月中旬、クリスマスには休みがあります)
入場料:CHF18
地図
テキスタイル博物館|Texitilmuseum

サンクトガレン近郊では、中世からリネンの繊維産業が盛んに行われヨーロッパ各地で取引されるようになりました。20世紀初頭には、サンクトガレンを中心とする東スイスが刺繍産業の中心となり、なんと世界生産の50%以上を閉めていたトップ産業だったそう。
その後、時代背景(第一次世界大戦など)から繊維・レースの需要が激減し地域経済は大打撃。戦後も、かつてのような大量生産の時代は戻ってこなかったとのこと。
しかし刺繍・テキスタイル産業はその後「高級」「品質」思考へと変化。今ではオートクチュールや高級ブランド・ハイファッションで欠かせない国際ブランドとしてサンクトガレンの刺繍が使われていいます。

そんな歴史背景を持つサンクトガレンで、約56,000点にも及ぶコレクションが所蔵されている博物館です。世界中のデザイナーが注目する、サンクトガレンの美しい刺繍・テキスタイルの歴史・コレクションをぜひチェックしてください!
営業:10:00時〜17:00時(※クリスマスには休みがあります)
入場料:CHF12 ※スイストラベルパスにて無料
地図
サンクトガレン旧市街|Old Town of St.Gallen

サンクトガレン修道院を中心に広がる旧市街では、中世の街並みが残っています。中でも「erststockbeizli(エルストストックベイズリ)」と呼ばれるサンクトガレンの歴史的な木造家屋の1階(日本で言う2階)にあるレストランが有名です。
もともとサンクトガレンでは、土地が湿っぽく、カビ臭くなりがちな1階ではなく2階で社交活動が行われていたそうです。旧市街にあるレストランや居酒屋は、1階ではなく2階に移され、伝統的な様式やゴシック様式の装飾がそのまま残されています。
ぜひエルストストックベイズリのレストランで旧市街を一望しながら食事を楽しんでください!
また、繊維産業の中心地として発展した歴史をもつサンクトガレンは、17世紀以降ボーデン湖経由で貿易も行うようになり世界を相手に商売できるようになり裕福な市民も増えました。その成功を誇示するために、市民がこぞって自分の屋敷の出窓の装飾を盛るのが流行っていたそう。
旧市街を散策していると、とても豪華でセンスの良いものから、グロテスクで奇妙な出窓が多くあるので、どんな意図があるのか想像を膨らませながら散策するのもおすすめです。
サンクト・ガレンへの行き方

スイスの玄関口であるチューリッヒ空港からサンクト・ガレンまでは、直通の電車で約1時間でアクセスできる好立地!到着日や最終日にサンクト・ガレン観光を組み合わせるのがスムーズです。
周辺おすすめ観光スポット

サンクトガレンの駅前から、アッペンツェル方面行きの列車が出てきます!サンクトガレンから約30分。スイスらしい穏やかな牧草地が広がる山岳地帯アッペンツェルにもぜひ足を延ばしてください。
アッペンツェル|Appenzell

アッペンツェルはもともと「大修道院の蔵」と呼ばれていた通り、サンクトガレンの修道院長が支配地域の拡大を図り、農作物や家畜を税として収めるために蔵を建てたことが始まりと言われている地域です。
伝統的な切妻屋根にカラフルな装飾・壁画の家並みがとても可愛らしい街です。また、よくよく家を見てみると地面すれすれに窓があることが多く、これは農業の閑散期に女性が刺繍をする地下室の窓だそう。

アッペンツェルにはスイス全土で飲まれているアッペンツェル・ビールの醸造所、スイスの養命酒と呼ばれる薬草酒アッペンツェル・ビターの本社、そしてスイス3大チーズの一アッペンツェル・チーズ工場もあります。修道院文化とのつながりを感じられる一押しの観光地スポットです。


まとめ:スイス・ヨーロッパの修道院文化の中心地!
スイス・ヨーロッパの歴史の中でも重要な修道院文化で繁栄したサンクト・ガレン。ヨーロッパの学芸の中心として繁栄しヨーロッパ文化の発展を明らかにする貴重な遺産が残っています。
スイスの山岳地帯の観光地もとても素敵ですが、ぜひ文化的な面でも注目してもらえたら嬉しいです。
旅行の初日・最終日にぜひサンクト・ガレン観光を組み込んでみてください!
スイスの旅行の手配も承っています。最新情報はInstagramにて発信していますので、覗いてみてください()。
